ニキビ治療

化粧品や医薬部外品と病院の薬の違いは?

「薬局に行くとたくさんニキビの薬があって、何を買えばいいか悩んでしまう」
「市販の薬と病院で処方される薬に違いはあるの?」

吹き出物のない綺麗な肌を保つには日々の生活習慣が大切なのは言うまでもありません。しかし、生活習慣を乱してしまい、肌が荒れてしまう傾向にあると思います。ニキビができてしまい、あわてて薬局に行った方も多いことと思います。

そんな方にとって、化粧品や医薬部外品などと病院で処方される薬の違いは気になるところではないでしょうか。この記事では、ニキビにおける化粧品や医薬部外品と病院で処方される薬の違いについて簡単に解説いたします。

病院で処方される薬

病院で処方される薬は一般的に「医薬品」とされます。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」という法律により、ニキビに関するスキンケア用品も「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」に分類されます。医薬品は、人もしくは動物の病気の診断、治療又は予防に使用されるもので、身体の構造又は機能に影響を及ぼすものと定義されています。つまり、ニキビに対して処方される「医薬品」は、ニキビ治療を目的とした薬のことで、厚生労働省より有効成分の効果が認められたものです。

医薬部外品

医薬部外品は、医薬品と同様の目的のために使用されるもので、身体に対する作用が緩やかなものと定義されています。つまり、効果のある有効成分が一定の濃度で配合されていますが、医薬品ほどの効果が期待できないものということになります。

化粧品

化粧品は、人の身体を清潔に美しくするもの、又は皮膚を健やかに保つために使用されるもので、身体に対する作用が穏やかなものとされています。つまり、医薬品や医薬部外品と違い、ニキビの治療としては効果が期待されておりません。

フラーレン配合化粧品に関する論文

一般に化粧品は、ニキビ治療については効果がありません。しかし、フラーレン配合化粧品はニキビ治療に有効だとする報告があります。Nanomedicine: Nanotechnology, Biology and Medicine誌という医学雑誌に掲載された報告では以下の通り記載されています1)

Oxidative stress plays a major role in acne formation, suggesting that oxygen radical scavengers are potential therapeutic agents. Fullerene is a spherical carbon molecule with strong radical sponge activity; therefore, we studied the effectiveness of fullerene gel in treating acne vulgaris. We performed an open trial using a fullerene gel twice a day; at 4 and 8 weeks, the mean number of inflammatory lesions (erythematous papules and pustules) significantly (P < 0.05) decreased from 16.09 ± 9.08 to 12.36 ± 7.03 (reduction rate 23.2%) and 10.0 ± 5.62 (reduction rate 37.8%), respectively. The number of pustules, consisting of accumulation of neutrophils, was significantly (P < 0.05) decreased from 1.45 ± 1.13 to 0.18 ± 0.60 (reduction rate 87.6%), and further in vitro assays of sebum production in hamster sebocytes revealed that 75 μM polyvinylpyrrolidone-fullerene inhibits sebum production, suggesting that fullerene suppresses acne through decreasing neutrophil infiltration and sebum production. After treatment for 8 weeks, the water content of the skin significantly (P < 0.05) increased from 51.7 ± 7.9 to 60.4 ± 10.3 instrumental units. Therefore, the fullerene gel may help in controlling acne vulgaris with skin care benefit.

フラーレンゲルがニキビ治療に有効であるかについて研究しました。軽症から重症のニキビに対して、フラーレンゲルを1日2回使用して、4週間後および8週間後の皮疹数を評価したところ、平均皮疹数は16.09±9.08から12.36±7.03(減少率23.2%)および10.0±5.62(減少率37.8%)に有意に減少しました(P <0.05)。また、重症ニキビである膿疱の数は、1.45±1.13から0.18±0.60(減少率87.6%)に大幅に減少しました(P <0.05)。

まとめ

今回はニキビ治療における、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」について説明しました。報告の通り、化粧品に一部有効とされるものもありますが、一般に既にできてしまったニキビに対して治療効果はありません。病院では、診察料がかかってしまいますが、患者様それぞれの症状に応じて医薬部外品より効果のある薬を処方することができます。早めに治したいのであれば、病院を受診してみてはいかがでしょうか。

参考文献

1) Inui S, Aoshima H, Nishiyama A, Itami S: Improvement of acne vulgaris by topical fullerene application: unique impact on skin care,Nanomedicine,2011;7:238―241

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